ブログサービス終了ラッシュの真相

先日、日本時間の9月28日付けで、MicrosoftがWordPress.comと提携するというニュースがネットを駆け巡った。WordPressユーザーとしては実に誇らしいニュースであるし、この提携によって、WordPress.comにさらなるサービスの向上がもたらされたら、それはそれで嬉しい。

ただ、よくよくこのニュースの中身を吟味してみると、少々複雑な思いに駆られてしまう。実はこのニュース、MicrosoftがWindows Live Spacesというブログサービスを終了するにあたり、WordPress.comへの移行を促しているに過ぎないのだ。実際に、Windows Live Spacesにアクセスして、こんなメッセージを目の当たりにすると、その実感は強くなる。



そういえば、9月の初旬には、Facebook風のユニークなブログサービスVoxが、サービス終了をアナウンスしたときも、TypePadや他のブログサービスへの移行ツールが用意されていた。本質的には、今回のMicrosoftとWordPress.comの提携のニュースとあまり変わらない。

このように、昨年あたりから、ブログサービスの終了のお知らせがやたらと目立つ。そこで、次のようないつくかの仮説を立てて、簡単な検証を行ってみた。

広告市場の規模縮小か?モバイルへの移行か?

まず最初に、この長引く不況の中で、企業が広告費を縮小に動いているのではないかという仮説。この件に関しては、次のサイトに詳しい調査結果があった。

第1回・インターネット広告市場

この記事によれば、米国では景気低迷の影響もあって、インターネット広告が初の前年比減を記録したとなっている。ただし、昨年度後半からは持ち直しの傾向があり、来年度以降は増加に転ずると予測されている。また、日本ではインターネット広告は微増に留まったものの、新聞広告を抜いて、テレビ広告に次ぐ、第2位の広告媒体となっている。

この数字を見る限り、成長に限りが見え始めたとはいえ、インターネット広告にはまだまだ成長の余地はありそうだ。Microsoftほどの体力がある企業が、早々に撤退する理由にはならないだろう。

次に、広告の主戦場がPCからモバイルへと移行しているのではないかという仮説。上記のサイトの調査結果によれば、日本ではモバイル広告市場は大きな伸びを示しているものの、米国でのモバイル広告市場は、PCの約40分の1にしか過ぎなかった。とても、広告の主戦場がモバイルへ移ったとは言い難い。

というわけで、もうほとんど結論は見えてきたが、最後にTwitterやFacebookといった新しいソーシャルメディアの影響を考えてみたい。

Twitterのリアルタイム性

先ずはTwitterについてだが、日本ではTwitterがブレイクした当初から、ブログツールなどを通じてブログとTwitterは緊密な連携が図られてきた。難しく言えばストック型のブログとフロー型のTwitterがお互いに補完しあっているということになるが、要するに相性が良いのだ。また、Twitterにはブログサービスから広告主を奪い取るような強力な広告配信システムも今のところ存在しない。

ただ、Twitterのブレイクは、時代がリアルタイムコミュニケーション向かっているという、ひとつの兆候を示しているに違いない。その意味では、これからのブログサービスのあり方に何らかの影響は与えているのは間違いないようだ。

広告主が熱い視線を送るFacebook

次に、Facebookについてだが、このメディアは、日米間において随分温度差がある。このところ日本でもFacebookは注目され始めはいるが、まだブレイクしたとは言い難い状況だ。これに対して、アメリカでは、十代からブームに火がついて、今ではとても大変なことになっている。今の段階では、まだFacebookがブログサービスを終了に追い込んでいるとは断定できないが、Facebookがブログサービスの自然淘汰を加速させる要素を持っているのは間違いないようだ。そのいくつかの理由を拾い上げてみた。

  1. Twitterと違って字数制限がなく、ストック型のメディアとして使える
  2. リアルタイムコミュニケーションの機能を持っている
  3. 実名コミュニケーションが原則である
  4. 強力な広告媒体として意識され始めている

アメリカでのFacebookのブレイクはTwitterブームの後に起こっている。Twitterのリアルタイム性を持ちながら、字数制限が撤廃されたということが、Facebookブレイクの引き金になった可能性は高い。さらに、ストック型のブログの特徴も併せ持ち、既存のブログと連携できるというオープン性も高く評価されている。

さらに、実名での登録を推奨するFacebookは、社会のしがらみから自由な十代の若者にとって、自由でフェアなメディアとして受け入れられたことも大きい。これによって、匿名でも実名でも構わないブログサービスとは一線を画することになったようだ。

ただ、この実名コミュニケーションを、最も喜んでいるのは、ユーザーではなく、広告主ではないかと思うこともある。どこの誰であるかはもちろんのこと、年齢や趣味、学歴までオープンにしてコミュニケーションしてくれるFacebookは、広告主にとって理想の広告媒体だといえるだろう。先ごろ起きたFacebookにおけるプライバシー問題も、広告主たちの熱い期待の表れに違いない。

というわけで、ここで結論。最近のブログサービス終了ラッシュは、景気低迷の影響がないではないが、基本的には乱立したブログサービスが自然淘汰の時期に入ったということだろう。ただし、Twitterのリアルタイム性やFacebookの実名性等によって、ブログサービスを支えているインターネット広告自体が変革期に入っている可能性は高い。

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