EC-CUBEの最新版2.11.0が登場した。前バージョンの2.4.4 に比べると、最大60倍の高速化が謳われているが、他にも注目すべき機能が盛りだくさんだ。
新バージョンの機能は次のとおり。
上記のうち、個人的に注目しているのが、多言語対応という項目。これまでのEC-CUBEは文字コードにEUCを採用していたために、多言語対応がとても難しかったが、今回のバージョンアップから、文字処理にUT-8が採用されたため、多言語サイト対応への期待が高まる。
というわけで、さっそく、EC-CUBE最新版をヘテムルにインストールしてみた。
ヘテムルで生じた小さな問題
共用サーバー・ヘテムルの基本仕様については次のとおり。
EC-CUBUのサイトでは、動作が報告されたサーバーがレベル別で次の3つに分類されているが、ヘテムルは、一番下の「EC-CUBEが使われているサーバー」に分類されている。
ちなみに、この「EC-CUBEが使われているサーバー」のなかには、コアサーバーやドメインキングも入っている。コアサーバーにもお試しインストールしてみたが、いつもながらのPHPのセーフモード問題が生じた。この問題は、PHPをCGI モードで動かせば解決できるのだが、そうすると他のCMSの動作に影響を及ぼす可能性が大きいので、今回のインストールは断念した。
なお、EC-CUBのインストール手順は、最初、次のマニュアルサイトを参考にした。
途中から、ヘテムルのオンラインマニュアルで、もっと詳しく解説されていることに気づいたので、最終的にはこちらを参考にした。
ところが、インストール途中、アクセス権限のチェックを行なった後で、次のようなチェック結果が出て先に進めなくなった。
>> ×:PHPの設定ディレクティブ「magic_quotes_gpc」が有効になっています。
要するに、php.iniを編集せよということだが、ヘテムルのオンラインマニュアルにはphp.iniの編集の仕方も詳しく解説されている。
php.iniの編集なしで進んでみた
EC-CUBE以外、ヘテムルでPHPに依存するプログラムを動かしていない状態なら、さっさとphp.iniを編集してしまえばよいのだが、すでにサイト運用中なら、php.iniの編集は慎重に行った方がよい。
そこで、今回はあくまでもEC-CUBEのテスト環境の構築が目的ということで、「問題点を無視して次に進む」にチェックを入れて、強引に先に進んでみた。
結局、インストールは何事もなく完了。管理画面に入ってみると、トップに赤字でいくつかのメッセージが表示されている。ひとつは、installフォルダを削除せよというメッセージで、これを実効すればすぐに消えた。だが、次のメッセージはなかなか消えなかった。
>> 更新情報の取得に失敗しました。
これは、php.iniを編集しなかったことと関係するのだろうと思ってしばらく放っておいたが、実はまったく別の問題だったと気づく。
EC-CUBEの管理画面でシステム設定→システム情報を開いてみると、PHPのバージョンが4.4.4になっていたのだ。次のヘテムルのオンラインマニュアルによれば、格納されるサーバーによって、デフォルトのPHPバージョンが異なる。
EC-CUBEをインストールしたサーバーは、デフォルトがPHP4なので、PHP5に切り替えるために次のような.htaccessを作り、EC-CUBEのルートディレクトリに放り込むと、システム情報でもPHPのバージョンが5.2.8と表示され、エラーメッセージも綺麗さっぱり消え去った。
AddHandler php5-script .php
多言語対応はこれからだが、目をみはる進化
最大60倍の高速化がなされているといわれる今回の大幅なバージョンアップで、EC-CUBEが、国内におけるEC構築オープンソースのデファクトスタンダードの地位を不動のものにする可能性が高い。デフォルトのテーマも完成度が高く、そのままショップがオープンできそうな雰囲気だ。
なお、多言語対応に関しては、管理画面に多言語設定や通貨設定の項目などは見当たらず、現時点では文字処理がEUCからUT-8に変わったというだけのようだ。ただ、近い将来、日本発のEC構築オープンソースのEC-CUBEが世界制覇に向かうとき、この仕様の変更は大きな意味を持つに違いない。今回のバージョンアップはそんな期待を抱かせる出来栄えだ。