KDE neonは、Ubuntu LTS (Long Term Support) 上に、最新のKDE Plasmaデスクトップ環境を構築したディストロです。一方、Kubuntuは、デスクトップ環境がKDE Plasmaによって構築されたUbuntu公式フレーバーのなかのひとつです。
Ubuntuがベースディストロであるという点で、両者は共通しているのですが、いったい何が具体的に違うのでしょうか。ふと気になったので、簡単にまとめてみました。
ベースディストロのバージョンを比較
先ず、両者がベースとしているUbuntuのバージョンの違いから比較します。
Kubuntuは、Ubuntuのリリースサイクルに準じてアップグレードされます。Ubuntu 23.04は今年の4月に正式リリースされましたので、このバージョンをベースとするKubuntuも、バージョン23.04がリリースされています。
なお、UbuntuにLTS版と非LTS版があるように、KubuntuにもLTS版と非LTS版があります。リリースサイクルに関してはどちらもUbuntuのスケジュールに準じますが、LTS版のサポート期間に関しては、Ubuntu LTS版が5年間であるのに対して、Kubuntu LTS版は3年間となります。
一方のKDE neonは、デースディストロがUbuntuのLTS版のみとなりますから、Ubuntu LTS版のリリースサイクルである2年毎に、ベースシステムが更新されて行きます。ただし、KubuntuのLTS版が、Ubuntu LTS版のリリースと同日又は数日後にリリースされるのに対し、KDE neonはもっとゆっくりとしたスケジュール(およそ6ヶ月後)でリリースされます。
KDE Plasmaのバージョンの比較
次に、KDE Plasmaのバージョンについてです。
この記事を書いている時点で確認したところ、Kubuntu 23.04のKDE Plasmaのバージョンは、5.27.4でした。
現在、KDE neonのKDE Plasmaのバージョンは、5.27.6ですから、KubuntuとKDE neonは、パッチバージョン(バージョン管理番号をx.y.zとしたときのzのこと)の僅かな差ということになりますが、KDE neonと同じUbuntu LTS版をベースとするKubuntu 22.04 LTSのPlasmaのバージョン5.24.7で比較すると、その差が大きいことがわかります。
つまりこれで、Kubuntuは、リリース時点でKDE Plasmaの最新バージョンを採用しますが、その後はパッチバージョンのみを上げて行くという方針だということが分かります。
一方のKDE neonでは、常にKDE Plasmaが最新バージョンであることを追求していて、セキュリティパッチの提供やバグフィックスのみではなく、見た目や機能も常に最新のものが採用されて行きます。
なお、ここでいう、バージョン管理番号x.y.zの、それぞれの意味は次のとおりです。
x | メジャーバージョン | 見た目や操作性に影響を与えるような大きな変更があった場合に数字が増える |
y | マイナーバージョン | 細かな機能向上や部分的な機能の追加がある場合などに数字が増える |
z | マイナーバージョン | バグ修正のたびに数字が増える |
あなたは向いているのはKubuntu、それともKDE neon
最後に、どんな人にKubuntuが向いているのか、それともKDE neonなのか、以下のとおり、結論を出しました。
- KDE neon → 最新のKDE Plasmaデスクトップ環境をUbuntu LTSベースで使いたい人
- Kubuntu → 最新のUbuntuバージョンでKDE Plasmaデスクトップ環境を使いたい人
- Kubuntu LTS → ベースシステムもKDE Plasmaデスクトップ環境も安定性を重視して使いたい人
かつて、Kubuntuで日本語環境を構築することが難しかった時代もありましたが、今では、両者に違いはありません。具体的な日本語環境の構築手順についてはコチラをご参照ください。
また、プリインストールされているアプリケーションやツールについても同様で、数の面でKDE neonが少なめではありますが、それほど気にするレベルではありません。
こうなってくると、Kubuntuに向いているのかKDE neonなのかは、ベースディストロとデスクトップ環境のどちらを最新にして利用したいで決まると考えて良さそうです。
もちろん、必ずしも最新が最良というわけでもありませんので、安定重視の方には、Kubuntu LTSという選択肢もありです。
デスクトップ環境にKDE Plasmaを使用しているディストロは、他にもまだまだたくさんあります。もっといろいろな観点から自分にあったディストロを探して試してみるのも楽しいかもしれません。