最近、インターネットの世界はますます物騒な時代になっています。特にWinodowsでインターネットに接続する場合、Microsoftが無料で提供するマルウェア対策ソフトWindows Defender (Windows7の場合はMicrosoft Security Essential)だけでは、不十分だということはもはや常識です。
となると、セキュリティソフトに何を選べばよいかということが問題になります。ところが、これがなかなか難しいのです。無償のものから有償のものまで、多種多様な製品があり、それぞれの製品のホームページを訪ねても、どこもうちが一番だと謳っていて、その根拠もまちまちです。
そこで、今回は、第三者機関による評価はどうなんだとうということで、セキュリティソフトの比較検証を行う独立機関の最大手のひとつAV-TEST.orgの評価に、自分の経験と周囲の人々の評判などを加味して、年間ランキングを作ってみました。
2016年度セキュリティソフト年間ランキング(AV-TEST/Windows部門)
- カスペルスキー セキュリティ 2017
- ウイルスバスタークラウド
- スーパーセキュリティZERO (Bitdefender)
- Avira Antivirus Pro 2016
- ノートン セキュリティ
- Quick Heal Total Security 17.0
- Avast Free AntiVirus 2016
- ESET Smart Security
上記の製品は、2016年度のTEST.orgの評価結果を基づき、上半期(4月発表)と下半期(10月発表)でTop Product(ベスト5)に選ばれたものを中心にセレクトされています。1位から4位の製品は上半期と下半期の両方で受賞したもの、5~6位はどちらかの期で受賞したものとなっています。
それぞれの順位は、AV-TESTの結果に、日本語サポートやコストパフォーマンス、実際に使用してみた感想、周囲の評判などを加味しているので、あくまでも参考程度と考えてください。特に、コストパフォーマンスについては、個人が使用するデバイスの状況(例えばPC一台だけなのかスマホもあるのかなど)や契約年数、キャンペーンなどによっても違ってくるので、それぞれのホームページで確認してください。
カスペルスキーが順当に首位、ノートンとESETは意外な結果に
ネット上でも評価の高いカスペルスキーが首位というのは、ある意味順当でしょう。内容的にもProtection(防護力)、Performance(軽さ)、Usability(使いやすさ)の3部門でまんべんなく高評価を獲得しています。
先日も、ある日突然インターネットに繋がらなくなったというWindows 10搭載のノートPCが持ち込まれてきたので、内臓HDD取り出し、カスペルスキーがインストールされているデスクトップPCに繋いでスキャンしてみたところ、不審な動きをするAdwareが発見されました。これを隔離したら、見事に問題が解決しました。
さらに、カスペルスキーは、ファイアウォール機能でも高い評価 (matousec.com)を受けています。
ただ、高機能、多機能であるがため、ネット上で、多少重めという声を聞くこともある(個人的にはそうは思いませんが)ので、低スペックのPCを使用している場合は、購入前に体験版(30日間無料で試せる)で、体感速度なたどをチェックしておいた方がよいかもしれません。
2位のウイルスバスターも日本ではお馴染みの製品で、日本語サポートも含め、性能面でも安心して使うことができます。最新版にはファイアウォール機能は搭載されていませんが、WindowsファイアウォールにIDS(侵入検知システム)機能などを付加するファイアウォールチューナーがデフォルトで使えるようになっています。値段が高いという印象もありますが、最近は長期契約割引やお得なキャンペーンも実施されていて、コストパフォーマンスも改善されつつあります。
3位のスーパーセキュリティZEROは、BitdefenderのOEM商品で、実質的なBitdefender日本語版です。内容的には2位でもおかしくないのですが、端末固定・期限なしという特殊なライセンス形態(もちろん人によってこちらの形態がよい場合もありますが)であるため3位としました。なお、Bitdefenderを熱烈推奨するアメリカ人の知人は、デフォルト設定でも十分に安全だから英語版でも問題ないと言い切っています。なので、通常のライセンス形態を望む人は、Bitdefender本家の英語版を購入するという選択肢もありかもしれません。
4位のAvira Antivirus Proは、本来ならカスペルスキーと首位争いをして当然の製品です。ただ、今年は5月末に、日本語版の配布が中止されるという発表があり、後にこれが撤回されるというドタバタ劇がありました。無料版であるAvira Free Antivirusはともかくとしても、有料版に関しては、日本語サポートに対する不安は、大きな減点ポイントではないかということで、今年はこの順位としました。
5位のノートンといえば、売上シェア世界No.1を謳うセキュリティソフトですが、下半期でTop Productの選考に漏れたためにこういう結果になりました。Protection(防護力)、Performance(軽さ)については、下半期でもトップクラスの成績でしたが、誤検出が多かったため、Usability(使いやすさ)で減点されたことが痛かったようです。来年度以降の巻き返しに期待したいです。
6位のQuick Healは、ノートンに代わって下半期のTop Productにランクインしたインド製のセキュリティソフトです。正直、まだ使ったことがないので、はっきりしたことは何も言えませんが、1ユーザー1ライセンスのコストパフォーマンスは最高クラス(無償ソフトは除く)で、内容的にもなかなか魅力的な製品に仕上がっているような気がします。Performance(軽さ)の成績がノートンより若干悪かったので、この順位としました。
7位のAvast Free AntiVirus 2016は、無償ソフト(有料版にはファイアウォール機能などもある)でありながら、Protection(防護力)は最高クラスで、しかも日本語対応(サポートは有料版のみ)ですから、個人利用であればこれで申し分ないのかもしれません。ただし、AV-TESTの2016度下半期のPerformance(軽さ)では下から3番目ということからも分かる通り、その重さが弱点です。他にも、誤検出が多いということや有料版へのアップグレードを促すポップアップ広告が頻繁に出ることなどがよく指摘されます。ただし、無償ソフトにこれらの弱点、欠点を直ちに克服しろと要求するのは、あまりにも厚かましい話かもしれません。
8位のESET Smart Securityについては、ネット上で、最高の防護力と軽さと評価されていることが目立つだけに、AV-TESTの2016度下半期、Performance(軽さ)で、下から5番目という結果には意外な感じがしました。今後のパフォーマンス改善に期待したいですね。