【追 記】20220131
Linux側のIPアドレスの固定で相性問題(インターネット切断問題)自体は解決しました。
詳細はこちらにて。
この投稿は、前回の投稿「auひかりとLinuxの相性が突然悪くなった理由を考えてみた」の続編です。前回の投稿をざっくりまとめると次のとおり。
auひかりとLinuxの相性が突然悪くなって、接続切断エラーが頻繁に起こるようになった。いろいろ調べていたら、KDDIがデュアルスタック方式でIPv6対応したことと何か関係がありそうだ。ただ、自力では解決できそうにないので、時期を見て、光コラボに乗り換えた方が良いかもしれない。
前回試さなかったこと
実は、auひかりで起こるLinuxの接続切断エラーの対策として、まだ試していないことがありました。それが以下のふたつです。
- KDDIでホームゲートウェイを上位機種に変更(Aterm BL900HWからBL1000HWへ)する
- ホームゲートウェイに外付けルーターを追加する
1番については、利用者都合での交換になるため変更手数料3,000円が必要。2番についても、新品のルーターだと、最低でも4,000円前後の出費が必要です。
金額的には少額だと思われる方も多いでしょうが、これによって問題が解決するという保証はありません。それにお金を払うということには、どうも納得できませんでした。よって、前回の投稿では、時期を見て光コラボ(ビックローブ光)に乗り換えた方が得策ではないかという結論に達しました。
現役引退の無線ルーターを借りてみた
ところが、そんなある日、現役を引退した無線ルーターAterm WG1200HPが事務所に放置されているのを発見しました。
Aterm WG1200HPは、すでに製造中止となった機種で、スペック的には、今どきの光コラボで主流の「IPv6 IPoE」や「IPv4 over IPv6」などには対応していないようですが、発売日は2015年01月14日ということで、2012年から提供開始されたホームゲートウェイBL900HWよりは新しい製品ということになります。そして、どちらも、NECのAtemシリーズ。期待と不安が入り混じります。
さっそく、許可を取って自宅に持ち帰り、前述の2番の方法を試してみることにしました。
ホームゲートウェイとWG1200HPをシンプルに繋げてみた
先ずは、設定は一切弄らずに、LANケーブルでホームゲートウェイとWG1200HPを繋ぐことから初めます。
WG1200HPのWANポート(上図②)にLANケーブルを刺し、もう一方をホームゲートウェイ側にある4つのLANポート(下図参照)のうちのひとつに刺します。
あとは、ホームゲートウェイのLANポートに刺していたPCのLANケーブルをWG1200HPのLANポートに差し替え、Wi-Fi接続で使うノートPCでも、WG1200HPが発する電波に切り替えます。
このシンプルな接続の仕方でも、インターネットにはアクセスできます。ただし、この状態は、いわゆる2重ルーターなので、使い方によっては不具合が起こる可能性があります。
そこで、ホームゲートウェイのオプション機能を使って、2重ルーター状態の解消を目指します。
ホームゲートウェイのDMZホスト機能を有効にする
auひかりのホームゲートウェイのルーター機能には、KDDIの所内側の装置で認証を取るという機能が備わっているため、ルーター機能そのものをオフにすることはできません。
このため、外付けルーターを追加するための機能として、ホームゲートウェイにあるDMZホスト機能というオプションを使います。
DMZはDeMilitarized Zoneの略で、日本語だと非武装地帯。ちょっと物騒な名前ですが、これはれっきとした情報セキュリティの専門用語です。
ただ、ここでいうDMZホスト機能とは、ポートフォワーディング機能の一種だと理解すればよいです。要するに物理的に直列に繋がれたルーターを並列にする機能ということです。
ホームゲートウェイの管理画面にアクセスするため、ブラウザのURL欄にhttp://192.168.0.1を入力してリターンを押します。初めて管理画面にアクセスする際には、パスワードの設定が必要です。
無事に、管理画面にログインできたら、詳細設定→その他の設定に行き、この画面で、DMZホスト機能にチェックを入れ、DMZホストのIPアドレスを入力します。
DMZホストのIPアドレスには、WG1200HPに割り振りたいと思っているIPアドレスを入れます。今回は、WG1200HPに固定IPアドレス192.168.0.90を割り振りたいとしました。
入力が終わったら、設定ボタン、画面左上の保存ボタンをクリックして、これで設定完了です。
WG1200HPに固定IPアドレスを割り振る
続いて、WG1200HPのIPアドレスに、先程、DMZホストのIPアドレスで指定した固定IP192.168.0.90を割り振ります。
ブラウザのURL欄にhttp://192.168.10.1を入力してエンターキーを押し、WG1200HPの管理画面にログイン。
ホームゲートウェイもWG1200HPもNECのAtermシリーズということもあり、管理画面操作はよく似ています。
ログインしたら画面左上にある詳細モードに切替ボタンをクリック後、続けて基本設定メニューをクリック。
デフォルトでは、動作モードの項目がローカルルータ(DHCP有効)となっているので、これをプルダウンメニューからローカルルータ(DHCP無効)に変更します。
続いて、IPアドレスの欄からプライマリDNSまで、値を入力します。一般的な入力例は次のとおり。
IPアドレス : 192.168.0.90
ネットマスク : 255.255.255.0
ゲートウェイ : 192.168.0.1
プライマリDNS : 192.168.0.1
入力が終わったら、設定ボタンをクリック。再起動しても問題なければ、「今すぐ再起動する」ボタンをクリックします。
デュアルスタック方式とLinuxの相性問題ではなかったかもしれない
こうして、ホームゲートウェイに無線ルーターWG1200HPの追加して、1週間が過ぎました。今のところ、Linuxでの接続切断エラーはまだ一度も起きていません。
現在、私の家では、ホームゲートウェイとAterm WG1200HPの発する2種類のWi-Fi電波が飛び交っていて、有線LANでも、ホームゲートウェイ側のLANポートとWG1200HP側のLANポートという2つのインターネットの出入り口がある状態となっています。
今、Linuxの接続切断エラーが解消しているのは、WG1200HP側のLANポートやWi-Fi電波と通してインターネットに接続した場合で、ホームゲートウェイ側のLANポートやWi-Fi電波を通じてインターネットに接続した場合には、今でもLinuxの接続切断エラーは起こります。
このことにより、当初、KDDIがIPv6対応のためにauひかりで採用しているデュアルスタック方式とLinuxのネットワークドライバとの相性問題ではなく、ホームゲートウェイのルーター機能とLinuxのネットワークドライバの間で起きている問題(ファームウェアのバグ?)かもしれないと考えるようになりました。
因みに、今回の問題が起きたホームゲートウェイBL900HWのファームウエアバージョンは1.8.56です。
ということは、今後、BL900HWのファームウエアのバージョンが上がれば、外付けルーターを追加しなくても、この問題が完全解決する可能性はまだ残されているかもしれません。
なお、これからauひかりを申し込む人には、上位機種のホームゲートウェイBL1000HW(プランにもよるが)が配布されるらしいので、今回のような問題に遭遇することはないかもしれません。
もうしばらくauひかりに留まることに
ということで、前回の投稿から微妙に心境と状況に変化が生じて、もう少しauひかりの世界に留まって、テストを続けてみようということになりました。
繰り返しになりますが、デスクトップOSとしてLinuxを使わない人(WindowsやMac、スマホユーザー)には、何の問題もありません。わが家の他の家族からも未だに不満の声は一度も上がっていません。
また、デュアルスタック方式によるIPv6対応を、追加料金なし、ルーター交換なしで果たしてくれているわけですから、auひかりのサービスそのものは悪くないと思います。
とはいえ、Linuxユーザーとしては、安心できる状況ではありません。
最新の外付けルーターを買って試してみるべきか、思い切ってホームゲートウェイの交換を申し出るべきか、悩ましい日々が続きそうです。
【追 記】20210506
この記事のテストで使ったルーターは、今でも自宅で使い続けています。ただ、この外付けルーターを接続した直後は、一時的にはエラー問題が解決したように思えたのですが、その後、時間帯によって、エラーが起こることが判明しました。確かにエラー頻度は減っており、数十分間も接続できないという深刻なエラーもなくなりましたが、まだ、これで満足というレベルにはありません。
そこで、光コラボ系への乗り換えも考えたのですが、新型コロナ禍のなかで回線乗り換えのための屋内工事はしたくないという、家庭の事情もあり、上位機種のホームゲートウェイBL1000HWへ交換を決意しました。
ところが、KDDIのカスタマーサポートに電話すると、「公式サイトでも案内させていただいておりますとおり、世界的な半導体不足によりホームゲートウェイBL1000HWの交換受け付けは現在、停止とさせていただいております」とのことでした。
この問題、なかなか終わりが見えませんね。まるで、新型コロナウイルスによるパンデミックのようです。