以前書いた記事のなかで、Linux MInt 11とUbuntu 11.04のメモリ消費量比較を行っていますが、そのときの数値は、2GBメモリ中257.7MB(12.9%)でした。 では、Ubuntu11.10にアップグレード後はどうなっているのかということで、改めて計測してみると、2GBメモリ中426.0MB(21.2%)という数字になりました。UbuntuのUnityシェルがどんどんユーザーフレンドリーになって行く半面、メモリー消費量もどんどん増えていくという、ある意味当然の結果となりました。
Update Pack 3を施したLinux Mint Debian Editionの場合
前述の記事中にはLinux Mint Debian Edition(略称LMDE)についての数字も残っていました。同量のメモリーを搭載した別PCでの計測ではありましたが、2GB中156.7MB使用という数字が残っています。 そこで、Update Pack 3を施した後の最新のLinux Mint Debian Editionについて、システムモニターで調べてみたら、次のような結果が出ました。
前回の計測が違うPCで行われたことや、Pack3へのアップデートの際、日本語入力メソッドをiBusからuimに変更したことなどが多少影響しているかもしれませんが、それでも2GB中133.2MB(6.6%)です。これは驚くべき数字だと思います。というのも、同じ条件下で計測したUbuntuと比較して、メモリー消費量が3分の1以下に抑えられているということになるからです。
Xfce4とLXDEのメモリー消費量比較
さらに、参考までに、Ubuntu 11.10で、軽量デスクトップのXfceやLXDEを使用したときのメモリ消費量についても、調べてみました。
UbuntuソフトウエアセンターでXfce4、LXDEを検索して、インストールを完了させます。ここでいったん、ログアウトして、Xfceセッション又はLXDEを選択して再ログインすれば、デスクトップ環境が切り替わります。 両者のメモリ消費量は以下のとおりです。
- Xfce4 on Ubuntu11.10:
2GBメモリ中348.2MB(17.4%)使用
- LXDE on Ubuntu11.10:
2GBメモリ中269.0MB(13.4%)使用
両者ともUbuntu標準のGNOME+Unityシェルの組み合わせよりもメモリ消費量は減ってはいるものの、Xfce4で3%、LXDEで7%の減少ですから、想像していたほどではありません。 しかし一方で、GNOME版のLinux Mint Debian Editionと比較した場合、Xfce4が2.5倍強、LXDEで約2倍のメモリを消費していることになり、ここでもLinux Mint Debian Editionの軽やかさが際立っています。
エレガントな操作性とPCリソースの消費量抑制を両立
もちろん、体感速度がメモリ消費量だけで決まるというわけではありませんし、大量のRAMを搭載したPCの場合は、これらの数字はほとんど誤差の範囲です。 個人的にも、仕事やプライベートで使うPCのほとんどにUbuntuとLinux Mint Debian Editionの両方をインストールして、使い分けていますが、両者に極端な体感速度の差を感じることは少ないです。
ただし、今回テストしたような引退寸前のレガシーPCとなると話は別で、Linux Mint Debian Editionの動作の軽やかさは特筆ものでした。その差は誰にでも体感できると思います。 Ubuntuの場合、PCのリソースの消費量を増大させてでも、ユーザビリティを向上させたいという傾向があるように見えます。これは、デスクトップOSとしての地位を固めるための戦略かもしれません。その意味からいうと、Ubuntuの場合、最新OS(今ならWindows7)が走るPCで、ストレスなく動作することを念頭に置いているのかもしれません。
これに対して、Linux Mint Debian Editionのベースは、レガシーPCを含め、できるだけ多くのハードウエアをサポートしようとするDebianのテスト版であるということもあって、リソースの消費量を極力抑えてレスポンスの向上を優先させようとしているように見えます。 もちろん、これはあくまでも両者のポリシーの違いの問題であって、どちらが正しいとはいえません。
ただ、少なくともLinux Mint Debian Editionは、リソース消費量の抑制とエレガントな操作性というユーザビリティの両立に成功しているように思えます。さらなるメモリ消費量の抑制を望む方には、Xfce版のLinux Mint Debian Editionも用意されているので、是非試していただきたいと思います。